読んだ本

「エリートパニック」についてのメモ

レベッカ・ソルニットの『災害ユートピア』を改めて読んでいる。 災害ユートピア――なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ) 作者:レベッカ・ソルニット 発売日: 2010/12/17 メディア: 単行本 元々は「被災地をめ…

わたしはひとり でもあなたとふたり:苫野一徳『愛』

「南区DIY読書会」という集まりで愛 (講談社現代新書)の感想を発表したので加筆して掲載します。読書会主催のカサ・ルーデンスの情報はこちらから。 苫野一徳『愛』感想 「そこに愛はあるのか?」某CMではないが、こう問われると一瞬考えてしまう。 自分では…

「オマ・ラウハ」の精神:こばやし あやな「公衆サウナの国 フィンランド」

今年の初めから京都・五条楽園にある「サウナの梅湯*1」にちょくちょく通っているのですが、そこでこんな本を売っていたので思わず買ってしまいました。表紙が素敵です。 公衆サウナの国フィンランド: 街と人をあたためる、古くて新しいサードプレイス 作者:…

「行けば考える」:菅原和孝 他「世界の手触り フィールド哲学入門」

今回取り上げるのは「フィールド哲学」という言葉に惹かれて購入したこの本です。 世界の手触り―フィールド哲学入門 作者: 佐藤知久,比嘉夏子,梶丸岳,菅原和孝,池澤夏樹,佐野文哉,田中雅一,大村敬一,風戸真理,松嶋健,春日匠,森下翔,大澤真幸,鷲田清一 出版社…

人生の学び舎:スナック研究会「日本の夜の公共圏:スナック研究序説」

自分はスナックに行ったことがないのですが、「日本の夜の公共圏」というタイトルに惹かれて読んでみました。 日本の夜の公共圏:スナック研究序説 作者: 谷口功一,スナック研究会 出版社/メーカー: 白水社 発売日: 2017/06/22 メディア: 単行本(ソフトカバ…

コミュニケーションが/その場で/哲学する:堀江剛「ソクラティク・ダイアローグ」

最近出た堀江剛氏の「ソクラティク・ダイアローグ」の感想です。 ソクラティク・ダイアローグ (シリーズ臨床哲学4) 作者: 堀江剛,中岡成文 出版社/メーカー: 大阪大学出版会 発売日: 2017/12/01 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見…

食べログに載らない「何か」:マイク・モラスキー「日本の居酒屋文化」

今日取り上げるのは、こちらの本です。 日本の居酒屋文化 赤提灯の魅力を探る (光文社新書) 「サードプレイス」という言葉があります。家(第一の場)でも職場(第二の場)でもない、その人にとって居心地のいい「第三の場」のことを指します。本書は日本の…

カフェーとAKB:「カフェと日本人」

「カフェを考える」シリーズ、まずは日本のカフェの歴史を知ろうとカフェと日本人を手に取りました。この本では日本におけるカフェの歴史や、日本ならではのカフェの特徴などが取り上げられています。コーヒーにまつわる知識なども得られて読み物としても面…

言葉に織り込まれるもの:「翻訳できない世界のことば」

前から気になっていた「翻訳できない世界のことば」を先日見つけたので購入。この本は「Apple=りんご」のように、一対一で翻訳できない世界のことばを集めたものです。絵本形式のようになっていて、30分もあれば全て読めてしまうぐらいの分量ですが、興味深…

ハビトゥスを歌うー山内志朗「小さな倫理学入門」

今日は山内志郎さんの「小さな倫理学入門」を紹介します。 小さな倫理学入門 (慶應義塾大学三田哲学会叢書 ars incognita) 作者: 山内志朗 出版社/メーカー: 慶應義塾大学出版会 発売日: 2015/10/15 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (6件) を見る 山…

哲学に上から目線はないー野矢茂樹「哲学な日々」

自分が影響を受けた日本の哲学者をあげろと言われたら、私はまず野矢茂樹を選ぶと思います。彼の本はありきたりな感想ですがどれも面白く、おすすめです。 野矢といえば哲学の謎 (講談社現代新書)や無限論の教室 (講談社現代新書) が有名ですが、今回は最近…

リアリズムに潜む罠?:丸山眞男「『現実』主義の陥穽」

「その考えは現実的でない」 「理想と現実は違う」 このような言葉で私たちは「現実」を語りがちです。しかし、私はこの言葉を聞くたび、あるいは自分で使うたびに、何とも言えない違和感を覚えます。ここでいう「現実」とは何でしょうか?「現実的でない」…

哲学=人生観・世界観だ!:岩崎武雄「哲学のすすめ」

岩崎武雄「哲学のすすめ」の紹介です。