哲学=人生観・世界観だ!:岩崎武雄「哲学のすすめ」
読んだ本をちびちび紹介していきます。今回は岩崎武雄「哲学のすすめ」です。
自分が高校生のとき、図書館で借りたはじめての哲学書です。最近改めて購入し読み返してみました。
哲学とは人生観・世界観だ
そもそも、哲学ってなに?
この難しい問いに、岩崎は明確にこう答えます。
(…)人間は、自由によって行為している以上、どうしても行為を選びその生き方を決定する根本的な考え方をもたないわけにはゆかないのですが、この考え方がいわゆる人生観ないしは世界観というものです。
そしてこの人生観・世界観がすなわち哲学に外なりません。(p.18)
人生観・世界観=哲学という、 なんとも歯切れの良い考えです。
岩崎はこの意味で人間は誰でも哲学を持っていると述べ、哲学は私たちの生活に密接に結びついているといいます。
例えば「幸せな人生を送りたい」と思うとき、人によって何を重要視するかは異なります。仕事で成功することを優先する人もいれば、家族と平穏に暮らすことを第一に考える人もいます。また、世間から離れて隠居したいと思う人もいるでしょう。
この考えの違いは、岩崎に従えば人生観=哲学の違いから来るものだと言えます。
「幸せとは何か?」といった抽象的なテーマに限らずとも、日常生活のあらゆる場面で行動を選択する私達はその都度自分の哲学に基づいて行動していると言えます。
※私は今お正月なのに初詣にもいかず家でこの記事を書いていますが、この選択も自分の何らかの人生観に基づいているのでしょう。
(例えば、「神頼みは効果がない」とか…笑)
哲学と科学はたがいに補いあう
岩崎は科学と哲学の関係についても論じています。
いまや、身の回りのあらゆることが科学で説明できるようになりました。
このような現代において哲学など不要なのでしょうか?
この疑問に対して岩崎はこう応えます。
哲学と科学は異なる役割を持ち、互いに補い合うものだと。
科学は「事実」がいかにあるかという知識を積み上げていく営みであり、そこから人生観や世界観などの「価値」の問題を導き出すことはできないと岩崎は言います。
個人的な行動の基準だけでなく社会問題や政治においても科学的な知識は必要ですが、その上でどのような行動を選択するかは、結局は哲学の問題にならざるをえません。
(…)われわれはどういう行為をするばあいにも、十分に科学的知識をもっていなければなりません。
しかし問題は、科学的知識はひとたび目的がきまったあとで、それではその目的を達成するにはどうすればよいかという手段についてのみ、その意義を有するということです。
科学的知識自身は目的をきめることができません。
目的は科学以外のものによってきめられる外はありません。
そしてこれが科学とは異なった、人生観であり、哲学であるのです。
(p.53)
岩崎はこのように事実についての探求としての科学と価値についての探求としての哲学を区別し、それぞれが補い合うことの重要性を説きます。
おわりに
この他にもこの本では歴史や政治等と哲学の関係や、学問としての哲学は成り立つかといった問題が取り上げられています。
もちろん、「哲学とは何か?」ということについて岩崎に対する異論は哲学研究者の中でも多いと思いますが、哲学のことを知りたい/これから学んでみたいという方にはこの本は結構参考になると思います。
私も高校生の当時かなり影響を受けました。
(おわり)
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後日書いた記事です。
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